昼休み、ひっそりと屋上へ続く階段を上った。

扉を開けた向こうには、青空が広がっていた。

「大原雨水(オオハラウミ)。」

九条さんの声がして、そっちを見ると文庫本を片手にパンをもう一方にする姿。

何故かいつもフルネームで呼ばれる。

いつか男子の名前を呼んでいる時は、名字か名前だったのに。

「こんにちは。」

私は一応挨拶をして、売店で買ったらしいパンを食べる九条さんの前に座った。

「友達と一緒に食べなくていいの?」

お弁当を広げる私を見て言う。

「私が居なくても…構わないと思うし。」

そう言うと、ふうんと言われた。