初めてこの人を見た時、馬鹿なんじゃないかと心配した。

でも、その男子等が頭を下げて退いて行く様を見ると普通の人じゃないと気づいた。

ストレートの漆黒の髪の毛は、胸あたりまで伸びている。

美形なその顔には、時々傷が出来るけどいつまでも美しく。

彼女の名前は、九条都(クジョウミヤコ)。

九条さんが窓際の一番前の席に座る。

すると教室内で喧嘩をしていた男子等は廊下に出て、沈黙に耐えられる女子の数人が教室に残る。

私は彼女の存在が好きだった。

いるだけで周りを静かにしてくれるし。

生存を確認するようにちらと私の方を向いてくれるから。

九条さんは、時々にしか学校に来ない。

だから、こんな日に恵まれた日はちゃんと学校に来て良かったと思う。