この前は、海には彼女がいたから噛みつかれた。

今度、海には彼女がいないから…?

なかなか離されない唇に私は酸素を求めるように口を開いた。

…それが仇となったらしい。

開いた口からは、海の舌が入ってきた。

もう逃げ場がなく、酸欠になって死ぬと感じる。

その時、唇は離された。

肺に酸素を送り込み、クラクラする頭を海に預けた。

…何のイジメ?

「…つくづく思うんだけど、海って私の事殺したいの?」

私の皮肉に返ってきた海の返事は。