「澪、いねぇの?」


「朝起きたら、もういなかったんだよ……」


嵐が部屋を見渡しながら訊くと、廉さんは不機嫌そうな表情で煙を吐いた。


澪さん、どこに行ったんだろ……


「俺、腹減ってるのに……。どこ行ったんだよ〜!」


嵐はため息混じりに言って、キッチンに向かった。


「何もねぇぞ!」


「マジ!?」


廉さんの言葉に肩を落とした嵐が、ソファーに座った。


「コーヒーでも飲むか?」


「じゃあ、とりあえず……」


「樹里ちゃんは?」


「あっ、いただきます……」


あたし達が頷くと、廉さんは小さな笑みを残してキッチンに行った。