「っつーか、腹減った……」


嵐は言いながら、部屋の壁掛け時計を見た。


時間は、11時を過ぎている。


「初対面だったのに、寛ぎ過ぎちゃったね……」


あたしが少しだけ焦っていると、嵐は笑顔で口を開いた。


「今日は二人とも仕事休みって言ってたし、大丈夫だって♪」


「でも……」


落ち込むあたしの頭を、嵐はポンポンと叩いた。


「それより、腹減ってね?」


「ちょっと空いたかも……」


「澪に何か作って貰おうぜ!」


嵐は笑顔であたしの手を握って、部屋を出た。


手を繋いだままリビングに行くと、廉さんがソファーに座ってタバコを片手にコーヒーを飲んでいた。