「なぁにニヤニヤしてるんだよ?」


まだ少しだけ照れた表情のままの嵐が、あたしの顔を覗き込んだ。


「ちょっとね……」


「思い出し笑い?」


はぐらかすと、嵐が意地悪な笑みを浮かべながら言った。


「もうっ!!違うよっ!!」


あたしは膨れっ面で彼を見た後、自然と笑顔が零れてクスッと笑った。


「何で笑ってるんだよ!?」


「一生教えてあげない♪」


あたしが笑うと、嵐は少しだけ不貞腐(フテクサ)れた。


「嵐……」


「ん?」


あたしは、嵐の耳元でそっと囁いた。


「愛してる♪」


彼はいつもの得意気な笑顔で、あたしを見た。


「知ってる♪」


あたし達は、顔を見合わせて笑った。