Virgin Snow

少しだけ拗ねたままの澪さんは、ケーキの苺を口に運んだ。


「澪、ストップ!」


「ふ……?」


廉さんは苺を咥(クワ)えたままの澪さんを見て、さっきよりも意地悪な笑みを浮かべた。


「それ、ちょうだい♪」


そう言った廉さんが、澪さんの顎を持ち上げて顔を近付けた。


そして澪さんの咥えている苺を、ゆっくりと唇で奪った。


硬直したままのあたし…。


唖然とする嵐…。


その後少し遅れて、澪さんの頬が真っ赤になった。


「れっ、廉っ……!」


澪さんは本気で怒っているのか、少しだけ涙目になっている。


あたしと嵐は顔を見合わせた後、二人して廉さんと澪さんをまともに見る事が出来なかった。