あたしは、また高志君に腕を掴まれてしまった。


「やめてよっ!!」


周りにいる子達は、助けようともせずに傍観している。


「ムカつくんだよなー!そいつとは、どうせもう終わってんじゃん?俺と来いよ!」


高志君はそう言って、無理矢理あたしを引っ張った。


「嫌っ……!触んないでっ!!」


あたしはもう片方の手で彼を殴ろうと、手を振り上げた。


その瞬間…


後ろからフワリと抱き締められ、優しい匂いがした。


それは、あたしがこの世で一番大好きな特別な匂い。


振り向いて顔を見なくても、ちゃんとわかるよ……


ねぇ……


やっぱり、あたしには何よりも必要なんだよ……