「別にいつもと一緒だよ……。学校終わって、バイト行ってた」


普通に答えた嵐に、少しだけきつい口調で話してしまう。


「昨日……女の子と駅前にいたでしょっ!!あれ、誰……?」


「あぁ……。姉貴だよ……」


嵐は気怠そうに答えて、携帯をパチンッと閉じた。


その軽快な音が、あたしを更に苛立たせる。


「へぇ……。お姉さんと歩く時に、わざわざ腕組むんだ……」


つまらない言い訳なんかしないでよ……


最近の嵐は、あたしといてもいつもどこか気怠そうで、“好き”って言葉も言ってくれない。


ましてや“愛してる”なんて、一度も言われた事が無い。


嵐にとって、あたしは何……?


あの女の子は、何……?


あたしは涙を堪えながら、嵐の言葉を待っていた。