「別にイイんだよ!俺もそんなに好きじゃなかったし!」


「え……?」


「あの時は、サッカーが恋人って感じで……。付き合うのとか、本当はどうでも良かったんだよな!」


「じゃあ、どうして付き合ったの?」


そのせいで、あたしは毎日いっぱい泣いたのに……


「うちの部の先輩の紹介だったし、まぁそこそこ可愛いし……みたいな。実際はそうでもなかったけどな……」


言葉を失って黙り込んでいると、嵐が小さく息を吐いた。


「お前さ〜……俺の事、嫌いになった?」


「えっ!?」


不意にそんな事を訊かれて、自転車に乗っているのも忘れて体を動かしてしまった。


「危ねーっ!!じっとしてろ!」


「あっ、ごめん!」


危うく転びそうになったものの、嵐は体勢を立て直した。