部活の引退式の時、久しぶりに嵐に話し掛けられた。


「樹里、何してんの?」


気まずさと複雑な気持ちを抱きながらも、彼に話し掛けられた事がすごく嬉しかった。


「自転車がパンクして……」


久しぶりに嵐と話すせいか、緊張でそれだけしか言えなかった。


「乗れよ!送ってやるから♪」


すると、彼は笑顔で自転車の後ろを指差した。


だけど…


あたしは、首を横に振った。


本当は、すごく嬉しかったのに…


「イイ……。彼女に怒られるよ……」


それを素直に言えずに、嵐に背中を向けた。


「俺、別れたから!」


「えっ!?」


直後に飛んで来た予想外の言葉に自分の耳を疑いながらも、思わず振り返ってしまった。