嵐は入学した時から、頻繁に呼び出されて告白されていたけど…


彼は、その子達の中の誰とも付き合う事は無かった。


だから、あたしは少しだけ自惚れていたんだ。


嵐もあたしの事が好きなのかも、って…。


そんな気持ちを抱えて、二年の夏休み明けに彼に賭けを持ち掛けた。


「嵐!明日の試合で点数決めたら、観たいって言ってた映画奢ってあげるよ♪」


その頃、嵐はサッカー部のエースだったし、ほとんどの試合で点数を決めていた。


だから、あたしは彼とデートをする為の口実に、試合を使ったんだ。


「ラッキー♪あっ、でも映画はやめとく!」


「どうして?」


あんなに観たいって言ってたのに……