嵐はゆっくりと唇を離して、ニッと笑った。


あたしの頬は、きっと真っ赤になっている。


いくら人通りが少ない道だからって、こんな公衆の面前で……


「ほら、行くぞ」


嵐に手を引かれながら、あたしはドキドキしていた。


「樹里さん、急に大人しくなりましたね?」


からかうように笑う彼を前に、更にドキドキしてしまう。


悔しいけど、きっと嵐には一生敵わない。


だけど…


あたしは、これからもずっと嵐と一緒にいたい。


「樹里!」


「ん?」


不意に立ち止まった嵐に呼ばれて、自分より少しだけ背の高い彼を見上げた。


「I love you……」


彼はキザな台詞をあたしの耳元で囁き、頬にキスをした。