廉さんはため息を零し、澪さんを見つめた。


「じゃあ、どうしてもっと早く言わなかった?」


澪さんも廉さんを見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。


「廉は……産んで欲しく……ない……でしょ……?」


廉さんは、困惑したような表情になった。


「どうしてそう思った?」


澪さんは唇を噛み締めたまま、黙り込んでしまった。


「澪……。ちゃんと言わないと、わからないだろ……」


顔をしかめていた廉さんの表情が、少しずつ曇っていく。


澪さんは小さく深呼吸をすると、消え入りそうな声で話し始めた。


「だって……廉は……子供が嫌いなんでしょ……?」


涙混じりに零されたその言葉に、廉さんが目を見開いた。