「澪……。どうして、もっと早く言わなかった?」


廉さんは落ち着いた声で話しているけど、心無しか表情は暗いような気がする。


「だって……っ……!」


澪さんは言葉に詰まって、また俯いてしまった。


澪さんのハニーブラウンの髪の隙間から、涙が零れ落ちるのが見えた。


「澪……」


廉さんは両手で澪さんの顔を包み、ゆっくりと顔を上げさせた。


「……っ!」


顔をクシャクシャにして泣く澪さんを、廉さんが真っ直ぐ見つめながら口を開いた。


「澪はもっと早くから、妊娠してた事に気付いてたんだろ?」


廉さんはまるで小さな子供に話し掛けるかのように、優しい口調で話している。


そして、澪さんはゆっくりと小さく頷いた。