ディスプレイを見ると、【非通知】と表示されていた。


誰なんやろ……?


非通知拒否にはしていないけど、普段なら絶対に出ない。


前に、知らない男からストーカーかと思う程の嫌がらせの電話を、何度も掛けて来られた事があるから…。


それ以来、非通知はトラウマ。


だけど…


イヴの夜に一人ぼっちだと言う寂しさが、あたしの背中を押したのかもしれない。


小首を傾げていたあたしは、手の甲で涙を拭った。


そして、恐る恐る通話ボタンを押した。


「もしもし……?」


晴稀……?


思わず声に出してしまいそうだった名前を飲み込んで、黙ったまま相手からの返事を待った。