Winter bell

朝になっても、晴稀からの連絡は無かった。


一晩中眠れなかったあたしの顔は、鏡を見なくても酷い事がわかる。


晴稀から、電話が掛かって来ると思っていた。


電話が無くても、家まで来てくれるのかと思っていた。


「……ふっ……っ!……ぅっ……っ……」


あたしは枕に顔を埋め、声を押し殺しながら泣いた。


一晩中泣いていたから、もう涙は出ないと思っていた。


だけど…


あたしの涙は止まる事無く、枕を濡らしていく。


「晴……稀ぃ……。ごめ……っ!」


晴稀がいる訳じゃないのに、何度も彼の名前を呼んで謝った。


晴稀、ごめん……


何度でも謝るから、いつみたいに早く会いに来てよ……