程なくして小さなため息を落とし、晴稀を起こさないように洗面台に向かった。


鏡に映る自分(アタシ)は、悲しそうな表情をしている。


零れ落ちそうな涙を誤魔化す為に、バシャバシャと顔を洗った。


簡単にメイクを済ませて自分の服に着替えた後、借りたスウェットを畳みながらまだ眠っている晴稀を見つめた。


スヤスヤと眠る彼は、きっとすごく疲れているんだ…。


あたしが物音を立ててしまっても、目を覚ます事は無かった。


「ごめん……」


複雑な思いのまま、晴稀に向かって小さく言った。


「……ん……」


「晴稀……?」


目を覚ましたのかと思って毛布を被った晴稀を呼んでみたけど、彼は寝息を立てて眠ったままだった。