晴稀はテーブルの下であたしの手を握ると、真剣な表情で口を開いた。


「山本さん、羅夢に謝ってくれる?」


やんわりとした言い方だったけど、彼の声はいつもよりも少しだけ低い。


山本さんは、不服そうに顔を歪めた。


「どうしてですか?」


「羅夢に、嫌がらせみたいな真似したやろ?だから謝って!」


晴稀に責められた山本さんは、バツが悪そうに黙り込んで俯いた。


「もうええわ!」


それから数秒もしないうちに、彼が立ち上がった。


「羅夢、行くぞ!」


驚いているあたしを促した晴稀が、怒りをあらわにした表情を見せた。


「今度こいつの事傷付けたら、許さんからな!」


彼はそう言って、あたしの手を引っ張った。