「言い忘れてたけど……」


「何?」


立ち上がった君に続いて、あたしも立ち上がる。


「浴衣姿、可愛いで」


「えっ……?」


さっきは、『馬子にも衣装』なんて言ってたくせに……


心の中では悪態をつきながも、甘い台詞に胸がキュンキュン鳴いた。


「ほら、行くで」


そう言った君は、あたしの手を引いて車に向かった。


ほら、やっぱり……


いつだって君は、いとも簡単にあたしの心を奪うんだ。