オイオイ好きを超越とかなんだよそれなんて目だ。とりあえず整理しよう。杏香ちゃんはこのあたりじゃ畏怖の対象だ。と言うのもヒマだからと言って近所のごろつき軍団を軽く全滅させたりといろんな伝説があるからだ。しかしシモン君はわかってない、セロお兄ちゃんは心酔してるけど実際のところは・・・・、実際のところは・・・シモン君の言うとおりかな?でも演劇部でもかなり大きな派閥のリーダーってことは人望は篤いってことだよね。うんそうだよ。
「や~シモンわかってないねぇ~、杏香ちんは伝説先行だよ?実際のとこはそんな怖くないし、愉快なお姉さんなのさ。」
たまにはまともなこと言うよね。


キンコンカン
あ、授業始まるし。えーと次は英語だったよね。担任の羽乳先生による。







来ない。今朝フツーにいたよね?廊下を散歩してた時も会ったし。
まったく、どうしてあの人はとぼやきながら席を立って教室を出る男子がいる。委員長の出恋蕗修(でこいろしゅう)君だ。
「今から羽乳先生を探してくるから静かに自習しとくように。」
そう言うと出恋蕗君はメガネでなく額を光らせ教室を後にした。
「ねぇねぇ、先生戻ってくるかなぁ。」
「可能性は薄いよね。」
さすがクラスのみんなはよくわかってる。授業開始のチャイムが鳴って5分過ぎても来ないことは過去にもあったのだ。多分今日も出恋蕗君は額にシワ寄せて教室に戻るだろう。







ガラッ
ほら。出恋蕗君だけ戻ってきた。
「え~、みんなに言っておくことがある。羽乳先生だが、今日は自習にすると言っていた。・・・」
出恋蕗君が事情を話し始める。



「・・・と言う訳でだ、屋上にいたんだ。で、授業をやるように言ったんだが、先生は『ひなたぼっこしながら昼寝したいから今日は自習。したいことがあったら自習中に少しでもしとくように。』だと。」
あ~やっぱりとところどころから聞こえる。でも今日の自習は正直ありがたい。明後日〆切の原稿がまだ仕上がってないからお昼休みも使って進めるつもりだったが授業も使えるとは思ってなかった。