裕との想い出が蘇りそうになってあたしは慌てて首を横に振った。


「ううん、欲しいわけじゃないの。この人形を元カレに取ってもらったことがあって……。それで見てただけなんだ」


「それって、まだ持ってんの?」


「うん……。ベッドの上に置いてある」


「へぇ」


一度眉間に皺を寄せた後、隼人は制服のポケットからブランド物の長財布を取り出した。


「……隼人?あたし本当に……――」


「黙ってろ」


隼人はそのまま機械に100円玉を二枚入れた。