それに、未来には自分のことをもっと知ってほしいと素直に思った。


自分のことをベラベラ話す達ではない。


でも何故か未来には話したいと思った。


聞いてほしいと思った。


未来の元カレが違う女と歩いていた時に感じた胸のモヤモヤも。


「3か月前に振られたから」


未来の悲しそうな表情を見て胸が苦しくなったのも。


保健室で二人っきりになった時、もっと一緒にいたいと思ったのも。


「大人ですごいカッコよくて………――――」


元カレを誉めた未来に苛立ちを覚えたのも。


未来の全てを手に入れたいと思ったのも。


俺はいつからか未来に心を奪われていたからで。


亮が未来のことを「あの子、可愛い」と言いだした時から、俺は未来の存在を意識していたのかもしれない。


遅刻して、島に説教されそうになっていた未来をどうしても助けてやりたくて。


いつもだったら島に呼びとめられても絶対に振り返らないのに。


やっぱり俺は、自分でも気付かぬ間に前から未来のことを……。




「今は、裕以外考えられない」


未来から未だに一途に思われている元カレにヤキモチをやいているのは確かで。


絶対に未来を振り向かせてやる。


俺は隣に座っている未来を見つめ、そう強く誓った。