「あたし?あの後、裕とは別れたよ。それで今、好きな人がいるの」 「へぇ、好きな人ねぇ……」 俺と未来をあれだけ振り回しておきながら、いい身分だな。 「その子ね、年下なんだけどカッコ良くて、すごい優しいんだ」 聞いてもいないのに、ベラベラと好きな男の話をする美咲の顔は幸せそのもので。 「……へぇ、よかったじゃん」 俺は適当に相槌を打ちながら、店長から貰ったコーヒーのプルトップに指を掛けた。