補修なんてめんどくさいことだけは絶対にしたくない。


勢いよく椅子から立ち上がると、クラス中の視線が一斉に俺に集まる。


「……何?」


眉間に皺を寄せて呟くと、クラスメイト達は我先にと俺から視線を反らした。


……んだよ、別にとって食ったりしねぇよ。



俺は心の中でポツリと呟き、教室を後にした。




「少しは勉強でもするか」


未来に辞典を借りて、少しだけあがいてみることにした俺。


一歩、また一歩と未来の教室に近付いていく。


そして後一歩で未来のいる教室に着く、そう思っていた矢先、俺の視界に未来と見知らぬ男の姿が飛び込んできた。