「……隼人の言うとおりだよ。あたし、裕と付き合ってるの」
美咲は腹を決めたのか、静かに語り始めた。
友達の紹介で付き合うことになった二人。
だけど、未来の元カレは浮気を繰り返した。
浮気が美咲にバレても、未来の元カレは反省せずに同じことを繰り返す。
そしてそれだけに留まらず、美咲は信じられない話をあいつから告げられた。
「裕が顔を腫らして待ち合わせ場所に来た時、すごいビックリした。だから聞いたの。その傷、どうしたの?って」
「……それで?」
「そしたらね、裕が言ったの。元カノを家に連れ込んでヤろうとしてたら、男に殴られたって」
その話を聞いた美咲の怒りは、未来の元カレではなく未来に向かった。
詳しい状況を元カレに聞いた美咲は、未来のことを疎ましく思った。
「あたしね、未来ちゃんに裕をとられたと思った。だから未来ちゃんの一番大切な物を今度はあたしが奪ってやろうって……」
「それで俺と未来を引き離そうとしたのか?」
「……そう」
未来の元カレは俺のバイト先を知っていたらしい。
大学生で車持ち。
給油でスタンドを訪れた時、何度か俺を見たことがあってもおかしくはない。
「でもね、これだけは信じて?あそこのスタンドでバイトを始めたのは、本当に偶然なの」
「それはそうだろうな……」
未来がレイプされかかった日の翌日、美咲はバイトを始めた。
予想外の偶然が、美咲の怒りに拍車をかけてしまったんだろう。
「裕から離れようとしたこともあったの。でも、どうしても離れられなくて……。
それなのに未来ちゃんは隼人に守られて幸せそうで…そんなのズルイよ」
「だったらお前もあんな奴と別れればいいだろ?それじゃただの僻みだ」
「……隼人にはあたしの気持ちなんて分かるわけない!」
「分かりたくもねぇよ。幸せになりたいんなら人のこと僻んでないで、自分で一歩踏み出せよ」
吐き捨てるようにそう言うと美咲はポロポロと大粒の涙を零してうなだれた。



