「……何でお前がここにいるわけ?」


「いるならもっと早く出てよねー。待ちくたびれちゃったよ」


「だから、何でお前が俺の家知ってんだよ」


「昨日店長に聞いたの。用があるからって言ったら、案外簡単に教えてくれた」


ニコニコと嬉しそうに笑う美咲を見ていると、眩暈(めまい)が起きそうで。


「……あっそ。用がないなら帰れ」


俺は家まで押し掛けてきた美咲にうんざりしながら、玄関の扉に手を掛けた。



「待って。今日は未来ちゃんの話をするために来たの」


「……未来の?」


俺は思わず扉に掛けた手を引っ込めた。