徐々に小さくなっていく裕の背中を見つめていると、目から大粒の涙が溢れだした。 裕と過ごした一年間の思い出が蘇り、あたしを苦しめる。 裕は最初から高嶺の花だった。 大学生の裕と高校生のあたし。 街で裕に声をかけられたことがキッカケで、あたし達は付き合うことになった。 きっとあたしと裕が出会ったことさえ奇跡だったんだ。 「裕……バイバイ」 あたしは制服の袖(そで)で涙を拭き、裕とは逆の方向へと歩きだした。