「そんなに嫌がらないでよ。隼人って女嫌いなの?カッコいいのに勿体ないよ」 「嫌い。特にお前みたいな女は大嫌いだ」 「えぇ〜それひどすぎ。でも、冷たい隼人もいいかも」 美咲は油を塗ったようにギトギトしている唇をキュッと上に持ち上げる。 「お前いい加減に………――!」 「いただき!」 それは一瞬の出来事で。 「……どんだけ俺を怒らせれば気が済むわけ?」 俺は重なり合った唇を作業服の袖でゴシゴシと擦り、美咲を鋭い瞳で睨み付けた。