触られた部分が、舐められた部分が。


お風呂で何度も擦ったのに、未だに感覚は体に残っている。


「俺が未来を守ってやるから。もう怖い思いさせねぇから。だから、泣けよ。思いっきり泣けよ」


隼人は力強くそう言うとあたしを抱きしめる腕に更に力を込めた。


レイプ未遂。


でも、心に負った傷は予想以上に深くて。


裕の部屋でも外に出てからもあたしは涙一つ零さなかった。


……ううん、違う。


零れなかったんだ。


まだ現実を受け入れられていなかったから。


人って不思議だね。


本当に悲しいと涙が出ないんだ。


少ししてその現実を受け入れた時、


初めて涙が溢れるんだ。