隼人が悪い人じゃないなんてこと、思い返せばすぐに分かったんだ。 それなのに、今の今までそんな隼人の優しさに気が付かなくて。 「もう送る」 帰りが遅くならないようにといつだって気にかけていてくれたこと。 隣を歩くとき、何気なく歩幅を合わせてくれていたこと。 自然と車道側を歩いてくれたこと。 そんな小さな隼人の優しさが今になって身に染みる。 でも、隼人の優しさを知ってあたしは裕に愛されていなかったんだと嫌でも実感させられた。