「いらっしゃいませ」


閉店時間ギリギリのショッピングセンターに足を踏み入れた俺は、明らかに挙動不審人物だった。


人は疎ら。


だけど、どうしても人目が気になる。



「……ヤベェ。これ気まずい」


サングラスをしていてもどこか気が引ける。


店員の視線が全て自分に集まっているような気がして。


俺は一目散にお目当ての物が売っているコーナーへと向かった。


“下着売り場”


そこは未知なる領域だった。


男が一人で足を踏み入れてはいけない場所。


所狭しと色とりどりの下着が並べられ、どれを買えばいいのか分からない。


未来の胸のサイズなど俺に分かるはずもなくて。


仕方なく、一番近くにあった白い上下セットの下着を手に取り他の客に見られない様にレジまでそそくさと移動した。