バイクを走らせること数十分。 俺ははやる気持ちを抑えて、アパートの階段を上っていった。 「どの部屋?」 「確か、201だったと思う」 201号室の前に着き、俺は玄関のドアノブを強引に回した。 でも当たり前のように施錠してある扉はびくともしない。 「……どうしよう。鍵がかかってちゃ何もできないよ」 高梨はガックリと肩を落としてうなだれる。 確かに鍵がかかっていてはどうしようもない。 でも、部屋の電気は確実に点いている。 ここまできて簡単に引き下がるわけにはいかない。