「悪い。ちょっと長引いちゃってさ」 ニコッと笑いながら戻ってきた裕の顔から反省の色は伺えない。 だいぶ前に運ばれてきたラーメンは冷めて、麺はのびきっていた。 「ううん。食べようか?」 「あぁ」 喉元まで出かかった文句をぐっと飲み込んでラーメンをすする。 案の定スープは冷めていて、美味しさを感じられなかった。 「先輩と何かあったの?」 「あぁ……ちょっとね」 「……ちょっとって何?」 「まぁ、いいじゃん」 電話のことを聞いても、裕ははぐらかしてばかりだった。