車は前を歩く隼人を追い越していく。 横をすれ違う時、隼人と窓ガラス越しに目があった気がした。 その表情は普段と変わらない。 それどころか、隼人の目はいつもより優しい気がして。 あたしは堪らず目を反らした。 「未来?どうした?」 「……ううん。何でもない」 今は裕とデート中。 隼人のことを考えていたら裕に失礼だ。 「ラーメン屋さんてここから近いの?」 「車で15分くらいかな?」 「そっか」 あたしは隼人のことを思い出さないように、必死で裕に話しかけ続けた。