「今日は……ありがとう。楽しかったよ」


「無理に誘って悪かったな」


未来を家まで送り届けるのは今日が最後になるだろう。


きっと未来は元カレと寄りを戻す。


でも、最後に自分の気持ちだけは伝えておきたい。


俺は正面に立つ未来の目を見つめこう言った。


「俺、お前が好き。でもお前が元カレを選ぶなら俺は潔く身を引くから」


「隼人……」


「返事いらないから」


少し驚きながらも優しく俺を見つめ返す未来。


こうやって見つめ返されるのもきっと最後になる。


そう考えると、どうしようもない気持ちになって。


こんな気持ち、初めてだった。



「じゃあな」


俺はフッと微笑むと虚しい気持ちを抱えたまま、未来に背中を向けて歩き出した。