始業式。
春うららかな日和に
こんな怠い行事やってられない。
眠い。 取り敢えず眠いよ。アタシは。
もう少しだけ眠らせて。


ガチャ。

「お母さん行って来るからって,アンタ始業式から休む訳? 連絡,自分でしなさいよぉ。」

しなさいよぉ?? よぉ!?
…ッ!!

「遅刻したぁッ!! お母さん!!!」

の声は届かず仕事へ行く母。 最悪だ…アタシ。

リビングに行くと誰も居なくなっていた。
何で気付かなかったんだ。落ち込んでいる間も
無いぐらい時間は無かったので今日は朝ご飯抜き。トホホ…。
アタシは急速にメイクとネイルを
済ませ準備をして家を出た。

学校までは30分。
かっ飛ばして20分の道程をチャリで進んだ。
息が止まりそうだ。 ウプッ。

やっとこさ校門着いたのは本鈴5分前だった。
アタシみたいな人が,
まだチラホラ居て気が緩んだのかニヤけてしまった。
危ない危ない;
チャリ置き場から教室までは外廊下を通って窓から入れば…よし!!間に合う。

アタシは急いでチャリを止めて ローファーのまま外廊下を走った。
(初日から担任に怒られずに済む♪)
アタシは春の陽気の様に
舞い走っていたら,いきなり目の前が真っ白に。

「あれ!?」
「おわッ!?」

とアタシと誰かの声と一緒にドスッ!!と鈍い音がした。
アタシは走っていた勢いと
ぶつかった衝撃で
滑りこけた。

目を開けると… ん!?
ここの男子??
急いでるアタシに
ぶつかってんじゃねぇ!!

「ちゃんと前見て歩いてよ!! 痛かったァ。」

と人の事は言えないけど;起き上がり,ぶつかった相手をキッ!!睨むと…

「ごごごッ…ごめんなさい!大丈夫ですか!?」

とビビり気味ながらに
手を差し出してきた。

逆光で顔が見えない。
それに,ここでは見馴れない服装。
もしかして,転校生??
でも,手を差し出してる場所が明らかにアタシの居る場所では無い事は確か。
この人…馬鹿!?

「あの…アタシここなんですけど。」

と声をかけると彼は

「あっ; スイマセン。
眼鏡が無いと見えなくて。眼鏡,何処行ったんだろう!?」

と,困った微笑みをした。
気がした。