ユカはこの日バイトじゃないっていうから、彼女にもチケットを渡した。

「お世話になってるから」

って、ただ一言だけ言って昨日。
大切に取っておいたその一枚。

好きだと気付いてからは、なんだかあまり近付けない。


このライブだけは、来て欲しかったのに。


「…最後の曲は、このバンドの唄です。まだバンドを組んで5ヶ月程なんですけど、変わったキャラのこいつらと過ごすのは、とっても楽しくて。」


回りを見渡した。

彼女は、いない。


「メンバーではないけど、支えてくれた人は一杯居て、とても感謝してます」


「今日来てないあいつにも、届けたいんです」


遠くを見た。

何故か、あいつが居た。