ドラムのシンバルの小さな音に乗せて、鮎川のギターソロが始まる。 哀しくて、切なくて、 だけど、前に進みたくて。 そんなもどかしい想いを、くしゃくしゃに丸めるんじゃなくて。 ひとつひとつ、音に乗せたくって。 何故だろう、お客さんがざわついた。 俺を指差す。 もしかして、鮎川が変なことしたのかな。 ま、そういう奴だしいいか。 眩しいステージのライト、汗で前が見えなくなる。 遠くを見て『届かない』、と歌っていたら、ユカを思い出した。