憐れみの感情も、家族を愛するという感情も……アレックスの生活に、およそ無縁のものだった。

それらは命令や任務を遂行するのに必要ないものだからこそ教わらなかったのではないのか?

時折非難を浴びることはあったが、それでもエルカイザの一国民としての義務はしっかり果たしてきたつもりだった。

だからこそ、生きることを許されてると……

なのに……

『コロシテヤル!!』

救助しようとした味方である自分を、真っ向から拒絶した少女。

それほどまでに彼女を狂わせた



――感情



見開かれた青い瞳から流れ落ちた赤い涙が頭から離れない。

感情の赴くまま叫ぶ声が耳から離れない。