言われてハッと、あの前後のことを思い出す。
あの時すぐにしまってしまった写真。テーブルの向かい側に座っていたジノには見えていなかっただろう。
だが、ジノはルシフェルのことを自分を助けてくれた天使様だと言っていた。見たかったに違いない。
「ああ……構わないよ」
答えて畳んだコートに手を突っ込みポケットを探る。
「良かったあ。僕……ルシフェル様に助けてもらった時、まだ凄く小さくって……牧師様に聞いた名前しか知らなくて……ずっとどんな人なのか見てみたかったんだ」
小声のまま、それでも嬉しそうにそう言うジノの声を聞きながら探るうちに目当てのものを見つけ、コートから引き抜く。
それを手渡すと、ジノは大切そうに受け取り、月明かりが当たるように写真を傾け覗き込む。
「この人が……ルシフェル様かあ……」
暗い部屋の中でも目を輝かせているのが容易に想像できそうな声を漏らしながらじっと写真に見入っていたジノだったが、ふと、その小さな頭が僅かに傾いた。
「なんだか……悲しそう」
ポツリと零れたジノの心配げな声。写真をアレックスの方へ差し出しながらジノは
「ルシフェル様……悲しそうな目をしているね」
アレックスへと尋ねる様に繰返した。

