「マリア……かあ……さん!!」
アレックスがマリウスの腕を掴もうとした瞬間……
マリウスは悲鳴に近い声を上げて、はじかれたように走り出した。
「マリウス!!」
大声で呼んだが振り返りもせず、前方で勢い良く燃え盛る一軒の民家めがけて走りつづける。
「よせ……っ、そこには誰もいない!! いてももう……!!」
アレックスの声もむなしく、マリウスはその民家へと飛び込んだ。
「何を……っ!!」
考えられない出来事にアレックスは絶句した。
(正気の沙汰じゃない)
茫然と目の前で起こった出来事を見つめるアレックスの視界の中、マリウスが飛び込んだ家が、ガラガラと音をたてて焼け落ちていく――

