城壁側の入り口は崩れて塞がれてしまっているから、反対側、要塞の外側へと逃げたのだろう。
「ふう……」
安堵の息を吐きながら塔の壁へと手をつき、一度肩の力を抜いて、顔を上げる。
この辺りはもう随分土埃もおさまってきていた。
目を凝らして見れば、薄もやの中にあるものが何なのかはっきりと認識できる。
ゆっくりと壁伝いに進みながら、周囲へ視線を走らせる……と
「ウリ……ちゃん?」
数十メートル先。
雪崩れるように傾斜を描く瓦礫の山の先に、崩壊から逃れて、何事も無かったように佇む一本の木の根元。
寄りかかるようにうずくまる人影をファーレンは見つけた。
見慣れた、灰色の外套。
ずり落ちたフードから零れる、灰色の……髪。

