体が僅かに揺れ、鎖が再び独特の金属の擦れ合う音をたて、その音にファーレンは伏せていた目を上げる。

「とりあえずアルマに報告して」

どこか覇気のない声で言いながらウリエルが記録装置を差し出していた。

「了解。どうするかも指示を仰ぎましょ」

その声音には気付かないふりをして、装置を受け取り

「俺も少しやすませてもらうとしますか」

そう言い残し、ファーレンは大きく伸びをしながら部屋の出口へと向かう。

ウリエルはそれを目で負う事もせず、再び窓の方へと歩を進める。

向けられた小さな背を一度だけ振り返り。

ファーレンもそれ以上言葉をかけることなく、静かに部屋を出た。