「ディラハン兵はいません。野営地はもぬけの殻です」
報告に塔の最上階の部屋まで上がってきた兵士が、息をはずませ報告するのを聞き。
ウリエルは深く長い溜息を吐き、ファーレンは口元を綻ばせた。
「破壊された戦車とトラックが数台放置。備え付け型の砲台も全て破壊されてます。
何かを燃やしたらしき跡が数箇所……人影は倒れてるものすら無く、皆無です」
「そうか……ありがとう。休んでていいよ」
報告を終えた兵にねぎらいの言葉をかけて、兵士に持たせていた簡易記録装置を受け取り、下がらせる。
ドアが閉まるのを確認して、ファーレンはにこやかにウリエルへと振り返った。
「いや~。なんだか知らないけど誰かが敵さん追っ払ってくれたみたいだね~。良かった良かった……これで大規模な戦闘は避けられた、と」
「ちっとも良くない」
報告を聞いて完全にふてくされたウリエルが吐き捨てる。

