リリスが来ると聞いたレイは、一瞬見せた不満げな表情はもう消えて
「アレック! おみやげある?おみやげある?」
旅に行くと行ったアレックスの言葉を思い出したのか、おみやげの心配をはじめていた。
そんなレイの様子に二人は思わず苦笑する。
「いやだわ、レイったら……おねだりばっかしちゃだめじゃない」
たしなめるアナベルの横で
「わかった。すごいの見つけてくる」
アレックスは約束の形に指をたててレイへ差し出す。
「や~く~そ~く~」
楽しそうにその指に、レイが小さな指を絡ませて勢いよく振った。
触れた指から伝わる柔らかなぬくもりに、アレックスは目を細める。
この笑顔をなくしてはならないと。
なくしたくはないと。
密かに胸の中……強く、強く。
そう思った――

