やや、重く沈んだ空気に。
それを払うように甲高い声が響く。
「アレックどこか行っちゃうの?」
果実を食べ終えたレイがきょとんとして首を傾げていた。
「ああ、ごめんな。ちょっと遠くに旅に行くんだ……しばらくここにもこれなくなる」
苦笑混じりにアレックスが応えると、途端にレイの眉間にしわが寄る。
「え~? やだよお……どこか行ったら遊べなくなるんでしょ~」
「大丈夫。用事がおわったらまた来るさ……それに、俺が居ない間はリリスさんが遊びに来てくれる」
レイをなだめるようにそう言って、アレックスはアナベルへと振り向く。
「アナベルさん。店の買い物とかもリリスさんが手伝ってくれるそうです」
「え? リリスちゃんが? もしかしてわざわざ頼んでくれたの?」
驚くアナベルにアレックスはかぶりを振った。
「いえ、ガーフィールドさんの所へお礼を言いに行って、しばらく留守にすることを話してたら、リリスさんが自分からそう言ってくれたんです」
「そう……いいのかしら? なんだか悪いわ」
「全然遠慮なんていらないから! ……て、これも伝言です」
ためらうアナベルの言葉にアレックスが即座にかぶせるように付け加え、視線が合う。
互いに自然と笑みが零れた。

