アレックスの言葉にアナベルはじっと押し黙り、耳をすませている。
「会えたら……きっと、真実がある。それがわかったら……きっと貴方にも」
アレックスが求めるもの、それとは別に、確実に彼女が持ってると思われること。
ボルグの死の真相。
それは必ずアナベルに伝えねばならないこと。
言葉を切り、視線をあげたアレックスの真摯な表情に、アナベルの目が微かに潤む。
「ありがとう……アレックス」
五年前、泣きながら口にした言葉をアレックスがずっと忘れずにいて、それに応えようとしてくれていることが、アナベルの胸を熱くさせた。
ボルグへの想いと、ボルグを失った喪失感。
レイとの暮らしで幾分薄らいだとはいえ決して消えたわけではない。
何よりあの夜を思い出せば、襲ってくる怒りにも似た気持ちと猜疑心……そんなどす黒い気持ちを持つ自分自身に対するやるせなさ。
真実を知れば、それも少しは和らぐかもしれない。
それを知りたいという気持ちは今も強くここにある。

