剥き終わった果実をアナベルが食べやすいように切って、皿に載せてレイへ差し出す。
凄い勢いで、口の周りを果汁で汚しながらかじりつくレイ。
それを見て口元を綻ばせるアナベルのやわらかな表情。
その光景を目に焼き付けながらアレックスは口を開いた。
「しばらくアルマを離れます」
アレックスの声にアナベルが振り向く。
「……任務? ……いえ、違うのね。任務だったらわざわざ私に言わないわね」
アナベルは勘のいい女性だ。アレックスの一言から、何を言おうとしてるのか瞬時に悟ったようだ。
「はい。長期休暇を取りました」
そう淡々と答えるアレックスの目をじっと見つめ
「彼女に、会いに行くのね」
静かに、はっきりと。それを口にした。

