ボルグが守りたかったのは、きっとこんな世界だったのではないだろうか?
時折りそう思う。
あたたかくてやわらかで……見ていると時々微かに胸が痛くなるような透明な世界。
彼が失うことを恐れていた、アレックスが知らない『家族』という名の小さな世界。
その笑顔を。
響く高らかな笑い声を。
壊したくはないと、アレックスも思う。
壊したくないから守る。守りたい……知ることの無かったそんな気持ちを、アナベルとレイと関わるうちに少しずつ、理解できるようになった気がする。
二人は本当の親子ではなかったがそんなことは何の問題もない。
それほどにしっくりと肌を通して染みてくる空気がここにはある。

